干し柿に懐かしい人が

干し柿

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亡父からの贈りもの

            尾崎 杏子

 

亡父が植えた柿の木が

初めて実をつけたからと

故郷からの送りもの

 

渋柿なのでまだ堅く蒼い

干し柿にと皮をむきながら

父の姿が甦り

思いは秋の故郷にとんでいる

 

 熟柿が好きだった父が

 じゅくじゅくに熟れた柿を

 おいしそうに

 スプーンですくって食べていた

夕陽を吸い込んだような柿の色

 

そこにはもう父も母もいない

ふる里の秋 ふる里の秋

豊かな秋は浮かぶけれど・・・・

| 木曜会(編集委員) | 00:04 | comments(0) | - | ↑TOP
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リミット

      中原千津子

 

いつからか

いつのまにか

 

ものの限界 極限を

考えるようになった

 

当たり前か

歳をとってきたのだからね

 

愛しい人も 仔犬も だいじなものも

昨日 蒔いた種でさえ

見届けないで 終わるかもしれない

どんなに あがいたってね

 

それは

父が 母が 姑さんが

見せてくれた

 

近頃は

黙って わたしを追い越していく

身近な友だちが教えてくれる

 

 

 

 

| 木曜会会員 | 00:03 | comments(0) | - | ↑TOP
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紫式部

    吉田房子

 

急に冷え込んできた

庭の片隅に

つつましく寄りそった

るり玉の集まり

 

その奥深い

高貴な色合い

手を触れるのを

ふと ためらう

 

秋空よりも

深く染められた

自然の宝石の優雅さ

 

紫式部

いい名前だね

| 木曜会会員 | 00:03 | comments(0) | - | ↑TOP
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京都を満喫したような

          阿部美智代

 

京都の友人に 連れられ

表通りから 裏通り 細い路地を

あっちに曲り こっちに曲り

ようやくたどりついた 小さなお店

 

メニューは 定食ひとつのみ

握りに そうめんの小鉢 カレー鍋

食後は タピオカティー

なんだか 不思議なとりあわせだが

ひとつひとつが丁寧で おいしい

 

歳を重ねた 店の主人は

無口で無愛想で

けれど それもよかった

 

京都らしいものを

食べたわけではないが

京都を満喫したような気分になった

| 木曜会会員 | 00:02 | comments(0) | - | ↑TOP
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すごい雨音

     片山洋

 

明け方 目が覚めたら

グワァーという

絶え間ない雨音

記録的短時間大雨情報が

出されていただけのことはある

一晩中こんなに降っていたのなら

赤城の山裾の町では

土砂災害が起きたかもしれない

 

ゲリラ豪雨は

温暖化に対する

地球の抗議の涙かもしれない

| 木曜会会員 | 00:01 | comments(0) | - | ↑TOP
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私の癖

      渡辺寿美子

 

廊下を見る癖

ガラス戸をのぞく癖

 

もう 犬のサスケが逝って

三ヶ月が過ぎるのに

 

直らない 私の癖

 

私の視線の先には

何の気配もない

がらんとした廊下があるだけ

 

ああそうだったと

虚しい思いが

募るだけなのに

 

| 木曜会会員 | 00:00 | comments(0) | - | ↑TOP
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消しゴムが一つ

       西脇たみ恵

 

丸くうす汚れた消しゴム

几帳面な角も

眩しい白も 

跡形がない

 

間違った事を

(ただ)したにしては

なんと情けない顔だろう

糺した事を後悔しているようだ

 

私の迷いで

汚れた顔

私の傍らで

私の真理を見届けようと侍る

 

心の(ひずみ)を一身に請け負った

私の迷いの 連れあい

| 木曜会(編集委員) | 00:00 | comments(0) | - | ↑TOP
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出会いと別れを折り交ぜて

出発風景

| - | 19:01 | comments(0) | - | ↑TOP
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スマホゲーム

        大野悦子

 

おばあさんの家で

夏休みを過ごしてきたのだろう

 

長野駅のわずかな停車時間に

おばあさんは

孫が座席に座るのを見届けると

急いでホームに降りた

 

ふたりは窓越しにさよならをした

おばあさんは

別れを惜しむよりも

一緒に乗って行きたいような面持ち・・・

 

男の子は

スマホゲームに夢中だった

誰にも邪魔されずに満足そうだ

ときどき

小さな体を大きく動かして

 

隣り合わせになった私は

おばあさんの大切な孫を託されたような心持ち・・・

 

どこまで行くのだろう

 

北陸新幹線かがやきは

もうすぐ高崎に到着する

                 

インターネット木曜手帖

        令和元年九月

 

 

*コメント      宮中雲子

 夏休みの終わり、こんな風景を目撃することは

あっても、そのお子さんの隣の席に座っていたとは

ほんとうに、まれな経験ですね。

二節の「ふたりは窓越しにさよならをした

おばあさんは

別れを惜しむよりも

一緒に乗って行きたいような面持ち・・・」

ここがいいですね。

1節が、どうも落ち着きがよくないので、4節に

くっつけてみました。

4節の4行と5行はないほうがいいでしょう。

終節もカット。長野駅を出発したところで終わった

ほうがいいと思います。

   

スマホゲーム              

       大野悦子

 

長野駅のわずかな停車時間に

おばあさんは

孫が座席に座るのを見届けると

急いでホームに降りた

 

ふたりは窓越しにさよならをした

おばあさんは

別れを惜しむよりも

一緒に乗って行きたいような面持ち・・・

 

おばあさんの家で

夏休みを過ごしてきたのだろう男の子は

発車するや否や 

スマホゲームに夢中

誰にも邪魔されずに満足そうだ

 

 

隣り合わせになった私は

おばあさんの大切な孫を託されたような心持ち・・・

 

どこまで行くのだろう

 

| - | 18:51 | comments(0) | - | ↑TOP
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