もう少し歩く

      西脇たみ恵

 

さあ どっちだ

右の道も 左の道も

こっちだ こっちだと

尤もらしい顔付き

 

切り抜けたと思っても

次々に選択が迫って来る

のべつ幕無し まった無し

人生は岐路に満ち溢れた道だ

 

どっちを選んでも

間違いでもなければ 正解でもない

ただ 現実になるだけ

 

迷いにけりをつけながら

もう少し 歩こう

未だ知らない自分と

明日 会おう

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北緯四十五度の思い出

            瀬野啓子

 

文字が薄れた

ハート型のスタンプ

 

‟日本最北端 北緯四十五度の地に

 致遠したことを 証明する‟とある

 

一緒に旅した友人四人

二人は もう居ない

 

稚内から 船で渡った

利尻島 礼文島の思い出は霧の中

 

遠い地の 遠い日の

楽しかった出来事は

ハート形のスタンプ帳の中に

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懐かしさが込み上げて

           渡辺恵美子

 

江東区祭り

木場公園に

日本全国からの特産物が勢揃い

 

生まれ故郷

伊豆半島のブースを見つけて直行

 

懐かしさが込み上げて

稲取のキンメ鯛と

河津の岩ノリを買った

 

東京暮しの方が長くなったのに・・・

故郷への思いは今もなお強い

下田には

もう両親も兄弟も居ないけど・・・

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時を刻む

        尾崎 杏子

 

去年は苦もなくこなしていたことが

今年は疲れる

忙しさが続けば膝の痛みを

腰のだるさをかんじる

内からの訴えだろう

 

時を刻む時計の営みのように

私の体の内側でも

確実に厳密に容赦なく

一年一年を刻んでいる

 

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私のシルバーバスは?

              渡辺恵美子

 

シルバーパスは

外出好きの年寄にとっては

最も嬉しいプレゼント

 

我が家は

都営地下鉄の駅も

都バスの停留所も近い

 

歩ける距離でも歩かなくなった

次の停留所まででも 

バスに乗る

 

歩け 歩け と

医者から言われているのに・・・

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これしきの手間で

        滝波万理子

 

朝刊の詩歌のコラムを切り抜く

二、三か月分溜まったら

きれいに切りそろえる

日付順に重ねて 姉に送る

 

毎日切り抜いてあげるよ と

安請け合いをして

はじめてみれば 存外手間

 

でも姉は心待ちにしている様子

送れば すぐに全部読んで

感想など電話がくる

それより何より

盆暮れにカツオのタタキが届く

 

これしきの手間で

カツオをもらったら

ブツクサ言えない よろこんで

これからも切り抜きますよ

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春の最中(さなか)

         西脇たみ恵

 

桜が散ってしまうと

春が終わったような気分になる

風は爽やかで

他に沢山の花が咲いているのに

 

道すがらの家々の庭に

道路の片隅に

公園の花壇に

とりどりに花は咲いているのに

 

心寂しく感じている私の事なんか

花達は気にしていないだろう

 

それぞれの花の (はる)最中(さなか)

どの花も咲くのに忙しい

人様の感傷に付き合うほど

暇な花は一つもない

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傷心を癒す旅

           尾崎 杏子

 

姪が突然に末期癌

今年が越せるかどうかの宣告を受け

傷心を癒す二人旅

 

静かな温泉に行きたいという姪の希望で

由加山温泉ホテルに泊まった

 

車の音も 電車の音もない

薄く 濃く つややかな緑の山に囲まれて

静けさを求めてやって来た甲斐があった

 

鶯が「ホケ ホーホケホケ ケキョ」

東京では聞いたことのない鳴き方だった

「鶯も岡山弁だね」というと

湿っぽい心の奥から

二人の笑いがこぼれた

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比べるべくもなく

        宮中雲子

 

葉の緑に

座を追われるように

花が散る

 

若い人に

追われて去る

退職者さながら

 

花はまた

来年 花を咲かせるが

退職者が返り咲くことはなく

 

去る者の淋しさは

散る花に

比べるべくもなく

 

 

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柔軟な心で

       尾崎 杏子

 

まるで欅の幹のように

真っすぐ空に向かって伸びている染井吉野

何か どこか雰囲気が違う

 

染井吉野の性格は

ゆったり横に 横に枝を張るのに

 

狭い間隔で植えると

青い空や陽の光を掴みたくて

真っすぐ

縦に 縦に伸びていくのだ

 

桜だって環境に合わせて

生き方を変える

 

私だって変われるはず

意地を張らずに柔軟な心で

残り少ない余白を飾ろうか 

| 木曜会(編集委員) | 00:05 | comments(0) | - | ↑TOP
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