モルフォの色

        西脇たみ恵

 

飛ぶ事を覚えた宝石 青い蝶モルフォ

その青い羽が

私の罪を咎めていた

 

懐くように足元に飛んでいた蝶を

私が誤って踏んだ

突然の死に抗いながら

羽を震わせて死んだ蝶

 

その蝶には 

もう二度と青空が無い

謝罪も哀悼も届かない

 

木々の合間に見えた空

コスタリカの青い空

空は胸に刺さる

モルフォの色をしていた

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ペットロスに似て・・・

           尾崎 杏子

 

孫たちと共に

賑やかなおしゃべり

楽しい歌声もいっぱい乗せていた

小旅行に買い物に いつも一緒だった車

 

緑内障 黄斑静脈など 眼の疾患で

片目に問題あり・・・

愛車が老いるまえに

( あるじ ) が病を抱えてしまった

ちょっと早い終活

説得し やっと諦めさせたのだがーー

 

空っぽの駐車スペースが寂しくのこり

ペットを亡くした時のような喪失感・・・

いつまでも後を引く


  

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懐かしいブルートレイン

            瀬野啓子

 

夜行列車の旅は

時間も 気持ちもゆったり

日常の忙しさを忘れさせてくれる

 

心豊かな旅をさせてくれたのは

今は無いブルートレイン

その中に連結された 乗客誰もが寛げる

おしゃれな ロビーカー

 

そこから見た

夜更けの闇の中を飛び去る町の明かり

刻々変わり行く 夜明けの空の色

 

爐海鵑雰平Г和召両茲衒では

見ることが出来ない爐

飛行機嫌いな夫は上機嫌だった

 

惜しくも 列車は廃止されたが

旅の日の出来事は深く心に残り

今も胸の中で走り続けている

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あしたの天気は?

       宮田滋子

 

あしたのお天気

どんなかな

降りそうで

ちょっと 心配

 気象予報を 聞いたら

 ‟一円玉天気‟だって

 

‟一円玉天気‟?

何 何 それ?

もしかして

傘が いるのか

 気象予報は はっきりと

 ‟これ以上くずれない‟だって

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ケツァール

       西脇たみ恵

 

世界で一番美しい鳥

ケツァール

出合えるだろうか

この遠い国に来た事を後悔したくない

 

見た者に永遠の幸せが訪れると言う

伝説の鳥 ケツァール

名前の由来は貴重と美しい

一目 思いが募る一目

 

旅行中出合う沢山の動物達

なまけもの イグアナ 蜂鳥

特有に進化したもの

けれど会いたいのは ケツァール

 

望遠鏡で覗いた ケツァール

自分の目でははっきり見られない

レンズ越し

他人の幸せを垣間見ているようだ

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箱根のもみじ狩り

          尾崎 杏子

 

木々が織りなす

明るく 柔らかな色の林のなかを

息子 孫 嫁が手を繋ぎあって歩いている

息子一家が招待してくれた箱根

 

結婚が遅く 気をもんだ日々があったので

こんな日が来るなんて 思っていなかった

 

後ろを歩きながら

もう大丈夫 よかった・・・

 

紅葉が生みだす幻想のような世界を

楽しんだ上に

なんとも言いようのない

安堵感をも味わった

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外国名によわい

         尾崎 杏子

 

巷に外国の人が珍しくなくなったように

花屋さんも外国の花であふれている

 

花木 草花 観葉植物 多肉植物

当然 聞き覚えのない名前ばかり

 

はっとするような形の葉や花

日光や水が大好きなもの 嫌いなもの

仲よくなれば

結構 楽しい相手だと思う

 

が――

どんなに美しくても

どんなに可憐でも

哀しいかな

外国の花の名が

頭に留まってくれない

 

 

 

 

 

 

 

 

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終活はもっての外

         瀬野啓子

 

食器棚に満杯の器

いつの間にか集まった書籍類

壁に掛けた 無名の画家の絵

 

好みで 集めた品々は

一つ一つに

思い出や意味があり大切な物

 

とは言っても

娘や孫には 何の魅力もないらしい

 

私が居なくなれば処分される

そう思うと いっそう いとしい

 

共に この世に在籍する時間が少ない品々

その中に もう少し浸りたい

 

流行の 終活などもっての外

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富士山を見た

       宮中雲子

 

富士山の見えるところがあると

二子玉川駅のホームの端まで

案内され・・・

 

オレンジ色の夕焼けの中

富士山は 小さいけれど

くっきりと黒い四角形

 

そのてっぺんに立ったのは

五十年も前 大学生の頃

世界遺産になるなんて 

想像だにしなかったと話す私

 

一歩遅ければ

夜に沈んでいたかもしれない富士山

案内してくれた人も

満足げに 並んで見ている

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可哀想なうさぎ

       西脇たみ恵

 

月にうさぎがいる

背を丸めて

閉じ込められている

 

身動きのできないまま

固まったうさぎ

 

可哀想な 可哀想なうさぎ

夜の(しおり)みたいに

月に染み付いている

| 木曜会(編集委員) | 00:06 | comments(0) | - | ↑TOP
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