本棚募金

      渡辺恵美子

 

大学のロビーの

“本棚募金”

 

本を入れる口が付いた

大きい箱に

“あなたの本棚から

学生の未来を支援しませんか?“とある

 

読んだ本を

図書館に寄付しても喜ばれない

古本屋に売っても二足三文だ

でも

ゴミに出すのは ためらわれる

 

本棚募金に

出合えて良かった

学生の手助けができるなら うれしい

 

 

| 木曜会(編集委員) | 00:03 | comments(0) | - | ↑TOP
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データは正しいか

           滝波万理子

 

24時間血圧計を付けた

30分ごとに機械が勝手に血圧を測る

 

血圧を測るぐらいと軽く考えていたら

けっこう気持ちが落ち着かない

歩いていてもブウーン

お皿を洗っていてもブウーン

カフをまいた左腕が締め付けられる

 

ウエストに巻き付けた本体は邪魔で

イライラするし

集中しているとき 急にブウブウやられ

ドキドキするのも心臓に悪い

 

就寝時にも作動するから

寝不足になるよ きっと

いつもより血圧は上がりそうに思うけど

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クジラの歌

      西脇たみ恵

 

波間(なみあい)に海の化身が見えた

潮を吹く姿に歓声が上がる

その日 クジラは優美だった

 

3,000km離れても交信出来るというクジラ

遥か彼方の恋人に

寄せる想いが海を越えて行く

想いに距離は関係ない・・・と

 

隣にいても想いが伝わらない

もどかしさに眠れぬ夜を数えれば

人に生まれたことを恨む日もあるのに

 

その日は晴天で

空も海も青かった

耳を澄ませたら

心の声まで聞こえそうなほど

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私流のお葬式

       宮中雲子

 

葬儀に行ったほうがいいと

思うけれど

連日の暑さ

葬儀場で倒れでもしたら

かえってご迷惑

 

思い出をたぐり

お人柄を偲び

机の上に並べる線香と供花

 

 ファックスで受け取った

 訃報を前に

 私流のお葬式

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六月の風

      尾崎 杏子

 

雨上がりの清々しく晴れた朝

風が抱えていたのは

咽るような

栗の花の匂い

 

ああ もう栗の花が咲いたのだ

あの栗園を通ってきた風

 

故郷の栗の木も

今頃 花をつけているのだろうか

 

因んで付けた

姉の名前が栗子

その樹は今もある

甦るのは

父も母もいた

ひと昔もふた昔も前の故郷

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もどかしい

      渡辺恵美子

 

21日間の入院中

私は まるでお姫様

三食昼寝付き

 

 薬を飲む

 ご飯を食べる

 身体を動かす

その他

‟おからだふき‟からシャンプーまで

 

沢山の人たちに助けられた

 医者 看護士 栄養士 トレーナー等々

 

‟ありがとう‟より

もっと伝えられる言葉が欲しい

感謝の気持ちを表わせきれなくて

もどかしい

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栗の花穂

      尾崎 杏子

 

荒れ模様の日の栗の木

強風で右に左に煽られて

長い花穂が

髪を振り乱して舞う

歌舞伎の連獅子のよう

 

細長い花穂が

あのイガイガした栗の実になる不思議

変身していく様子を

近くでじっくり観察してみたい

 

幼いころからの願いは

今も叶っていない

 

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においも届けて

        渡辺恵美子

 

テレビの料理番組

タコ(めし)が できたてのホヤホヤ

 

電気釜のふたをあけたら

湯気が‟ぶわー”っと立つ

‟ああ いいにおい‟

ゲストが感動して声をあげる

‟においを届けられなくて残念!‟

 

未来のテレビで

においまで

届けてくれるようになれば

いいのに‼

 

 

| 木曜会(編集委員) | 00:14 | comments(0) | - | ↑TOP
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お腹が鳴った

       西脇たみ恵

 

静かなエレベータの中で

お腹が鳴った

思わず顔から火が噴いた

みんなみんな 知らん顔

でもきっと 分かっている

 

お腹よ鳴るなと押さえたけれど

気持ちを無視して また鳴った

火事だ火事だ

身体中に火が廻る

火を噴く怪獣になってしまいそう

 

いつも すぐ着くエレベータ

故障みたいに のんびりしている

タラタラ タラタラ 脂汗

自分の中から焦げちゃいそう

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ごめんなさい

      宮中雲子

 

かかわっていた団体の

何周年かの記念に

もらった目覚し時計

 

何の愛想もない 黒い作り

道具そのもの

 

文字が大きく 音が強烈

しっかり起こしてくれるから

重宝してきた

 

今朝も起こしてもらって

その団体の長が亡くなって

三十年近いことに気づいた

 

心のどこかで

粗末に思っていたことに

改めて ごめんなさい

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