二輪だけに・・・

        宮中雲子

 

花びらが乾いて

紙のようになったデンドロビュウーム

 

妹の上京にあわせて

玄関に飾っていた花

 

妹が帰って一ヶ月

その淋しさを埋めてくれていたが

 

縁が茶色くなったのから

摘み取っているうち

とうとう二輪だけに

 

老いた私たち姉妹の

姿にも似たデンドロビュウーム

 

寄り添っている花に

私たち姉妹を重ねて

自然に落ちるまで 今しばし・・・

 

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薔薇の棘

      西脇たみ恵

 

薔薇が棘を持っているのは

誰かを傷付けるためではない

己を守るためだ

 

言葉に棘を感じたら

ああこの人も

自分を守りたいのだ

 

傷付けるつもりが無くても

傷付けることを

知らないのかもしれない

 

棘を落とした薔薇が

店頭に並ぶ

美しいけれど

それはそれで 少し哀しい

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ホタルの頃に

        渡辺恵美子

 

鹿や猿が出るという山のふもとに

ポツンと一軒家

 

そこに

小学校時代の友人が住んでいると聞いて

驚いた

 

気丈にも たった一人で

 

大人しいと言うよりは

弱々しく見える少女だったのに

 

六月頃

ホタルが奇麗だから行こうと

誘われたけど・・・

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六月の旭川

      西脇たみ恵

 

旭川空港に降り立つと 雨

遠路はるばるのお出迎えが 雨

何しに来たかと 雨

ドシャブリの雨に 泣かされる

 

肌寒いを通り越して

身を切る寒さに震え上がる

同じ日本だとはとても思えない

地球の裏側にでも辿り着いたようだ

 

強烈な雨の洗礼を受けて

帰りたいような気持で乗ったバス

市内行きのバスの車窓に

ルピナスが咲いている

 

行く手に群がる 花の松明

高らかな歓迎の意が感じられる

 

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雨の日の紙飛行機

         尾崎 杏子

 

雨のそぼ降る日

郵便受けに紙飛行機

 

誰かの悪戯かな

けげんな思いで湿っぽい紙飛行機を

飛ばしてみた

私が折る飛行機より良く飛び

気持ちが弾む

 

よく見ると切手が貼られ

両翼に宛先と送り主が記されている

これこそ本当のエア・メール

 

中には きっとメッセージがあるはずと

ためらいつつ開くと

「タラヨウ」の葉書のお礼に・・・とあった

 

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雨を帷子(かたびら)に

         西脇たみ恵

 

憂鬱に沈む六月の空の下

雨を帷子に紫陽花が咲く

 

花びらに見えるのは(がく)

美しさを手に入れた萼

 

支えたり 引き立てたり

そんな脇役を放棄した萼

 

雨に打たれるのも

試練ではないらしい

 

萼として生まれ来たけれど

花より 花らしく生きる

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ピカピカ光っています

         瀬野啓子

 

毎年 山形から届くサクランボ

 

箱を開けると

真赤に熟れて ピカピカ光った粒は

今にも飛び出しそう

 

北国の厳しい冬を過ごしたことなど

微塵も見せない

 

頭に一本角つけて

剽軽で可愛い玉

見ているだけで顔が綻ぶ

 

うっとうしい梅雨の季節に届く

優しい友からのプレゼントは

身も心も明るくしてくれる

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緑の中で

       瀬野啓子

 

五月の庭は

木の芽や草花が

艶やかな若緑を思い切り広げている

 

若葉に反射する

眩しい光も新鮮

 

乙女椿や山茶花は

みどり色の漆を塗ったように光ってる

 

華やいでいた つつじの花も

すっかり消えて 静かな緑の世界

 

葉の間を舞う紋黄蝶は

いつもより鮮やかな

円紋を見せびらかして舞い

庭の景色を引きたたせている

| 木曜会(編集委員) | 00:04 | comments(0) | - | ↑TOP
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ツバメは来たけれど

                  滝波万理子

 

雑居ビルの壁に

毎年ツバメが巣作りをしていた

 

ビルの入口の店舗 八百屋の老店主が

糞よけの板を取り付けたり

騒がしい鳴き声を

お客に謝ったりしながら

楽しんでいる様子で

客たちも便乗して

鳥の子育てを楽しめた

 

でも 昨年の冬 八百屋は急に閉店

「長年ありがとうございました」

張り紙一枚を残して

 

春になっても そこは空き店舗

シャッターは降り 人の賑わいはなく

糞よけ板は外れかけ垂れ下がっている

 

今年もツバメは姿を見せたけれど…

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花水木が咲いて

        西脇たみ恵

 

桜が散った頃合いを見計らって

咲き始める 花水木

 

散り急いだ桜への心残り

ぽっかりと空いた心の穴を

慰めるように 埋めるように

ここかしこに 花水木

 

ハナミズキ 花見月

月も花見をするとは

なんと風雅な名前だろう

 

少しづつ長くなった夕暮れを

ゆっくりと歩く

頭上には 花水木が咲いて

共に 行く春を偲んでくれる

| 木曜会(編集委員) | 00:04 | comments(0) | - | ↑TOP
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