吉備路をのんびりゆったり

                      尾崎 杏子

 

国分寺の五重の塔の回りに

古代米の赤い稲穂のさざ波が広がる吉備路

 

ぼんやり時を忘れていると

五重の塔が夕映えに染まりはじめ

空には夕月も

古(いにしえ)にタイムスリップしたかのよう

 

通りすぎるだけだった故郷

吉備路にのんびり ゆったり逗留したら

せかせかした都会のリズムを忘れ

まあるい心の私がいる

 

 

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切なくて

     西脇たみ恵

 

呟きを零すように

萩の花が零れる

 

風の戯れに身を委ね

季節のうつろいに漂う

 

通り過ぎる者を

振り向かせる萩

 

ささやく声は小さくて

聞きとることが出来ない

 

美しいと言うより儚い

悲しいと言うより切ない

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稗搗節(ひえつきぶし)の村

            瀬野啓子

 

庭のさんしゅうの木に

鳴る鈴かけて ヨーホ

 

宮崎県の稗搗節の曲が流れている・・・

一度 訪ねた椎葉村を思い出す

 

この唄は

平家の落人伝説で

宴席で良く歌われるのだと聞いた

 

少し淋しく 少しユーモアがあり

笑いを誘う

 

長い歌詞は覚えられなかったけれど

メロディーを聴く度に蘇る椎葉村

 

樹木の香り 心暖かい人々の顔が

懐かしく浮かんでくる

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その黒髪は…

     大楠 翠

 

その黒髪は

肩まで垂れていた

 

後ろ姿を

目で追えば切ない

 

君は知らない

知らなくていい

 

切なくなると

思い出す黒髪

 

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神様コロン

       渡辺恵美子

 

小指の先ほどの小さな神様

金ピカの弁財天

逃げてしまわないよう

大切に財布に納めてた

 

切手代を払った時

弁財天が ころがり出たらしい

郵便局のお姉さんは

‟神様が!‟と言って返してくれた

 

今までこんな事はなかったのに…

神様に見放されたようで心配だ

 

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ナチュラルストーン

          西脇たみ恵

 

丸く磨かれた石が

売られている

ナチュラルストーンなんて

小洒落た名前の商品になって

 

磨いても 石は石

宝石にはならない

売り物にはならないって聞いたのに

時代は変わった

 

無論 石は石なりの値段だけれど

ショーウインドウに飾られるなんて

石も思わなかっただろう

思わぬスポット

 

その他大勢に紛れて安穏としていても

気まぐれな時代が光りをくれる

肖る(あやかる)気持ちが何処かに作用して

一袋買った

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黒部峡谷で

          尾崎 杏子

 

夏でも白銀の峰々が連なる

神々しい山並み

荒れ地に愛らしい高山植物

這松のもとで出くわした雷鳥

 

標高二千メートルを越える

急峻な峡谷の崖っぷちを

風をきって走るトロッコ電車

木々の緑をさやさやとなびかせ

電車のなかを通り抜ける風

 

その風に身を委ねていると

心の窓を押し開けて

日常を吹きとばしてくれる

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お誕生日と命日と

        瀬野啓子

 

母は この世にはいないのに

私が生きている限り

母のお誕生日と命日は毎年くる

 

その度に

楽しかった思い出も

悲しかった出来ごとも

みんな淋しい顔して現れる

 

遙かに時が過ぎても

褪せない母の姿 母の言葉

 

もうすぐ 命日

今年もお墓の前で

家族の健康をお願いし

過ぎた一年の出来ごとを報告したい

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明日の私

      西脇たみ恵

 

私が待っているのは

他の誰でも無い

私が待っているのは私

私以上の私

 

前向きで必死に頑張っている私

坂道も階段もいとわない

今日出来なくても

明日出来ると信じている私

 

躓いて転んでも諦めない私が

やがてはやって来る

今は影さえ見えないけれど

 

生きて会えたら言おう

来たら言おう

遅かったのね

待ち侘びちゃったわ

| 木曜会(編集委員) | 00:15 | comments(0) | - | ↑TOP
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食べものの恨み

         滝波万理子

 

終戦後 食糧難のころ

戸棚の奥に黄桃の缶詰が一個あった

 

あれはいつ食べるのだろう

子供たちは楽しみにしていたのに

ああ何ということ

おもてなしに使われてしまった

 

恨めしそうに唾を飲み込む

子供たちの前を

ガラスの器に入れられて

客間に運ばれていく黄色い桃の実

 

あの時のことは

兄弟全員大人になっても覚えていて

家族が集まった時など話題に出る

 

我慢する子供も辛かったけれど

母もさぞかし切なかったろう

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