日差しが優しいから

         北上太郎

 

遅めの朝食をすませ

その後には 親が死んでも食休み

と 独りごとを言って

しばらくは 居間にいて・・・

 

この頃は

初冬の日差しが優しいから

カーテン越しの長椅子の日溜りに

魂をころがして

 

その後は

決まったように

うとり うとり

 

退職したら

詩もうたおう 書も楽しもう

と 思っていたのに

その思いは いつの間にか 霞んでいる

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うちの老犬

         渡辺寿美子

 

眠っていることの多くなった犬のサスケ

私が声をかけても

すぐ傍にすわっても

眠りの中に潜りこんだまま

 

身をまるめ

これまでの思い出が

こぼれ出てしまわないように

自分の体と一緒に 抱いているのであろうか

 

バスケットの中に

すっぽりと収まり

たった一匹の世界の中にいる

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あめ玉

       安井和美

 

あめ玉ひとつ

口の中に放り込む

優しい甘さに

張りつめていた心も体も

フッと和らぐ

 

子供たち

いいえ 大人だって誰だって

あめ玉ひとつほおばれば

ひとときの笑顔がひろがる

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人生の秋

    片山洋

 

山では燃えるような紅葉

人生の秋もこのように

色あざやかであれば

すばらしいことだ

 

でも 道端に咲く小菊もいい

あまり人目を引かず

それでいて

凛と 美しい

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朝のひと時

        小川かよ子

 

空気も澄んで

心地よい朝を迎える

何時になく気合が入って

手早く仕事も片付いた

 

気が付いたら

まだ九時前

心地よい気分の中で

ひと休みと決める

 

いま干し終えた洗濯物も

白く風に舞う

とてもさわやかな

今朝のひと時

ゆっくりとお茶を楽しむ

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大きなクリスマスツリー

                 橋本美智子

 

晩秋の

公園の昼さがり

松は 赤松も黒松も美しい

 

其の中の 一本離れて立つ赤松の見事さ

木のてっぺんには松の花を白く咲かせ

 

誰が見てもクリスマスツリーだ

とんがった先から地面に向かって流れる線

 

そのツリーを支える赤茶色の松の幹の艶

こんなに大きなツリーには何を飾ろう

 

高い高い空に輝く

たくさんの星しか考えられない

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ドイツびいき

       中原千津子

 

わたしが幼いころ

ドイツは日本と同盟を結んでいた

 

幼い子供への刷り込みは

恐ろしい

 

ドイツ製というと

いい物と信じている

 

たとえば

極小の真鍮の鉛筆削り

これ以上スリムにはなれない

小さいくせに ずっしりとして堅牢

 

ドイツ製というだけで

手軽な掃除機にも飛びつく

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思春期

     大楠 翠

 

身長を聞かれる都度

戸惑って 

やっぱり上乗せしていたぼく

たった一センチのことだけど

 

プラス一センチの体裁が

計り知れないほど

大きな意味を持っていた

遠いあの頃

 

 

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うっかりの付け

        吉田房子

 

今月は ずいぶん多いけど

何か思い当ること ありますか

 

水道の検針員の言葉に ハッとした

 

そう言えば 少し前

裏庭の水道 出しっぱなしにした

 

ずい分って どれくらいですか

かなり多いです 六万円

 

まあ!二日間

出しっぱなしにしただけで六万円

そんなに・・・・

 

仕方ないです 自分がうっかりしてたのですから

いさぎよく言ったものの

残念でならない

火事を出したと思えば 水だから・・・

何に置きかえても あきらめきれない

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うそでしょう?

        中尾寿満子

 

地域で一軒の理髪店を営む

同級生のTちゃん

「節分草が咲き出したで―」

「八幡様の祭りも近いで」

折にふれ届いていた

声のふるさと便り

 

美容業を営む私に

「無理しんさんな」と

「Tちゃんもね」と返すと

「わしゃぁ元気よ」が定番だった

 

八月二十二日に届いた

Tちゃんの訃報

信じられず 受話器を持ったまま

突っ立っていた私

 

「うそでしょう?」

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