枝先に蕾

       西脇たみ恵

 

枝先に蕾

未だ硬い蕾 花には遠い蕾

いずれ花になる夢を見て

眠っているのだろうか

 

眠っている時間さえ

明日が育つ

夢を確信に育てる時間

ゆっくりと自分を育む蕾

 

果たせなかった夢を

胸に燻ぶらせた者の庭先で

蕾が膨らむ

 

きれいに咲いて欲しい

心からそう願う

果たせなかった夢の一片(ひとひら)

蕾に託す

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芹摘み

        北上太郎

 

芹を摘む

妻とふたりで

 

休耕田が 与えてくれた

ささやかな 春のめぐみ

 

今夜

ふたりで食べるだけを 摘む

 

ふたりの 両の手は

芹の香りと 土の匂いで いっぱい

 

ときどき ぬるんだ風が

ふたりを覗いては 通りすぎる

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ゆっくり歩け

        大楠 翠

 

「ゆっくり歩け」と

寡黙な父が

ぼくに言った

 

思い返せば

父が小走りしている情景を

見たことがない

 

心にゆとりが欲しいとき

ぼくは自分に言い聞かせる

静かに父の口振りを真似て

 

「ゆっくり歩け」と   

             

 

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開花

      安井和美

 

二月下旬

僅かに暖かな日が続いた朝

梅が咲いた

 

庭の隅にある

つぼみさえ気づかなかった程の

弱々しい梅

薄ピンクの小さな愛らしさ

 

目に見えない

大きな力に促されて

こんなか細い枝でさえも

開花する強さ

| 木曜会会員 | 00:02 | comments(0) | - | ↑TOP
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どれにしようかな

        阿部美智代

 

スーパーの 特設コーナーに

日本中の 人気のプリン

北は北海道 南は沖縄

ふるさとの 神戸のプリンも

ちゃんとある

 

ふるさとの プリンのはずなのに

はじめて見るプリン

オレンジ色の 小さな壺の

ぷくっと かわいいプリン

ひとつ買って

あとひとつ

姉の分は どれにしようかな

 

北は北海道 南は沖縄

あれもいい これもいい

迷って 迷って

日本列島をうろうろ

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雪が残したものは

        黒澤弓子

 

粉雪が

うっすら積った 椿の葉

いつもなら 見向きもしないけれど

つ・・・と 足が止まった

 

緑色のお皿に 砂糖菓子を乗せて

美味しそうに並んでいるから

 

雪のパティシエ

出来たてホヤホヤ

この冬の 新作品

 

「おひとつ いかがですか」

 

誘い上手な お菓子屋さん

 

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雪降る前に

      中原千津子

 

おじいさんと仔犬は出かけて行った

お気に入りの

桃色のハリネズミのぬいぐるみと

すり減ったスリッパが 

土間でひっくり返っている

 

日照り続きで やっと降る雪

仔犬には初めての雪

小さなあんよが冷たかろうと

せいて 出かけて行った

 

雪の降る前に 

 

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届いた喪中葉書きに

        渡辺寿美子

 

紫と白の小菊が書かれた中に

あの人の名前はあった

 

心に浮かんでくる

あのやわらかな微笑み

きれいにカールされた髪

今も耳に残る

「頭痛持ちなの」の言葉

 

詩作にも ボランティアにも 

煎茶にも

精力的に取り組んでおられた

 

穏やかな言葉遣いとは裏腹に

内に秘められた熱いエネルギー

 

時々 私 気圧されていた

 

「また 会いましょうね」

最後に交した言葉が

空しく 思い出されてくる

 

| 木曜会会員 | 00:11 | comments(0) | - | ↑TOP
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もうすぐ節分草が・・・

          中尾寿満子

 

「節分草祭りが来るで・・・」

いつも早春を知らせてくれていた 

Tちゃん

 

八幡さまの裏山に

あなたが植え続けていた種が

花を咲かせ

過疎の町が 

二万人近い人達で賑わうと聞く 

節分草祭り

 

あなたが旅立って半年

もうすぐ節分草が咲く

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山の早春

    片山洋

 

谷間を流れる川音が

大きくなり

山の斜面の林では

早春の日差しを浴びた

クヌギやコナラが

根本の雪を丸く溶かし始めた

 

風はまだ冷たく

空ではひばりが鳴いている

| 木曜会会員 | 23:55 | comments(0) | - | ↑TOP
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