桜並木の遊歩道にて

        尾崎 杏子

 

今 桜は花も葉も落とし

詫びた姿でたたずんでいる

 

さぞや寒かろう 冷たかろう

枯れていないか

近づいてよくよく見ると

何と枝には新芽

幼い子猫の爪のように

堅くするどく尖った芽

 

寒さの同情なんていらないらしい

すでに春の準備をはじめている

 

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平成最後の東門から

             澤井克子

 

新年に皇居の東門をくぐる

平成最後の新年に

開いている門の厚さに

そっと人差し指で触れてみる

 

銀杏の樹は葉を落として 

枝が墨絵のようになり

新年の日差しを浴びている

平成を味わっているようだ

 

友達が誘ってくれたお蔭で

のどかな気分で

平成最後の新年に

東門の中に足跡をつける

 

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山茶花

       渡辺真知子

 

北風に

白い山茶花の花びらが舞う

 

花びらに雪への思いが重なり

一ひら一ひらに

望郷の思い

 

窓に降る雪と

薪ストーブと

父母の声と

 

誰も住まない

故郷の家から

降り注ぐ思い出が

胸に積もる

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車の免許更新で

       吉田房子

 

車の免許更新の通知が来た

 

娘は免許を返納して

バスやタクシーを

使うように と言う

 

息子は 免許が無くなると

ボケルと言うから

免許証は持っていた方がいいと言う

 

足が弱って来ているので

まだ乗っていたい

知能テストは うまく出来た

実技も合格

八十九歳までの免許に

意欲と心配を重ねている

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本が届いて

         安井和美

 

疲れから体調を崩した私に

知人が本を送ってくれた

自分自身励まされた本らしい

 

メールにもなかなか気付けない

忙しい人が

私の為に新品の本を買いに行き

手紙を添え送ってくれた

 

優しい貴女の気持が

嬉しくて尊くて

少しばかり申し訳なくて

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姉の旅立ち

      北上太郎

 

すぐ上の姉は

この冬 一番寒い日の今日 旅立つ

 

最近の姉は 昨日・今日のことを

すっかり忘れるようになっていたという

この世に未練を残すまいとしていたのか

 

女小錦を自称していたのに

すっかり スリムになっていたともいう

それは 冥土への道のりを考えての

ことだったのか

 

お尚さんは 今日はお釈迦様の命日

いい日の旅立ち・・・ というけれど

俺には もっともっと生きていて

欲しかった の思いがある

 

俺は ひとり取り残された思いで

野辺送りの列の中にいる

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お父さんとお母さん どっちが好き?

          中原千津子

 

お父さんとお母さん どっちが好き?

大人は不用意に そんな質問をする

 

小さい時 わたしは

お父さんと答えた

 

母はいつも なんにも言わず

病弱なわたしを命がけで育ててくれた

 

寡黙で人付き合いの下手な母は

どんなに寂しかっただろう

 

今も

母のうけた傷が わたしを傷める

 

 

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私のアドレス帳

           北野千賀

 

住所変更があった時

新しいカードに書き直して 入れ替える

 

両親が 叔父叔母が亡くなるたび

カードを抜いていった

 

自分自身も還暦を過ぎて

新しいつきあいも増えず

カードは減る一方

 

年をとると

アドレス帳まで

厚みがなくなってゆく

 

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当たるも八卦 当たらぬも八卦

                                 寺澤朋子

 

旅の無事を願って

お参りに行った神社で

引いたおみくじ

大吉だ

喜んだのはつかの間

 

見た旅行運

控えた方がよい・・・と

もう取り止めることなんて

できない

せっかく安全祈願に来たのに

よぎる不安

 

当たるも八卦(ハッケ)

当たらぬも八卦と

ひとり言を言い

もう一度無事を願って

木の枝に結んだ

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しもやけを見ていると

         渡辺寿美子

 

今年も赤く膨れた指

見つめていると

思い出されてくる

 

たかの爪をくつに忍ばせてくれた父

ゆず風呂を用意してくれた母

私の指を両手の平で包んで

暖めてくれた姑

私を心配する あの眼差し この眼差し

 

しもやけが連れてきてくれた

遠い日の思い出に

しばし 心を浸す

 

しもやけ

厄介物だけど

憎めない

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