ほどく

    渡辺真知子

 

意図があったわけではないのに

いつの間にか心を持ったかのように

複雑に絡まってしまった糸

 

向き合えば

試されている気分

 

最大の敵は短気

 

いつかたどり着く出口を信じての

真剣勝負

 

| 木曜会会員 | 11:35 | comments(0) | - | ↑TOP
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おもいでが隠れている

         阿部美智代

 

テレビに昔の映像が 流れると

たいていが

アナログ放送の ものだから

画面の両端に 黒い線がある

 

映像は 昭和の歌番組だったり

最近亡くなった 往年のスターの

若かりし日の 姿だったり

映っている人は みんな

若く明るく 懐かしく

 

そして私は

それをリアルタイムで

観ていた頃を 思いだす

こどもだった私を

若かった両親を

懐かしい友だちを

 

両端の黒い線には

観る人それぞれの おもいでが

隠れているのかも しれないな

| 木曜会会員 | 11:23 | comments(0) | - | ↑TOP
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冬の雨

    そがべたけひろ

 

冬の雨はさびしい

いつの間にか あがっていて・・・

 

青空が西からくると

(けやき)の枝から しずくがおちているのに

雨はいってしまって

静けさだけが  

水たまりに写っている

| 木曜会会員 | 11:20 | comments(0) | - | ↑TOP
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おもいがけなく

       澤井克子

 

昔からの仲間たちと

新年に一度だけ会う

数年前から

お互いお菓子など交換することを

中止にして楽だった

 

思いがけなく一人から

ビニールの小さな植木鉢に

つぼみをいくつもつけた

紫の花をもらった

誰も文句言わないで

喜んでいただいた

 

お喋りに夢中で

花の名前は 聞きそこなった

 

| 木曜会会員 | 11:17 | comments(0) | - | ↑TOP
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夜明けのマリア様

       中原千津子

 

夜が明けたばかりの教会の

木の祠にまつられた

白いマリア様

 

その台座に 5千円札が

裸で 供えられていた

 

とっさにおもったことは

風に飛ばされる

誰かに盗られる

 

ああ浅ましい わたし

恥ずかしい

 

供えた人は邪念なく

ひたすら

神様に直結している

 

その一途さを 妬む

| 木曜会会員 | 23:55 | comments(0) | - | ↑TOP
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私の鏡台に・・・

        北野千賀

 

嫁入り道具に持参した鏡台

もう四十数年も使っている

 

器量良しではないが

かつては 若々しい姿を映していた

 

もう随分 眺め続けてきた自分の姿

近頃 めっきり年老いた

自分の部屋へ入る度 鏡の前で

「まあ老けたこと」とつぶやく

 

鏡の中を通り抜けて行った歳月

中を覗き込んでも 見つかる訳がないけど

私の若さは 何処へ行ってしまったのか

| 木曜会会員 | 23:31 | comments(0) | - | ↑TOP
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失言

    大楠 翠

 

言葉を発した直後

すべて消えて失くなればよい

と思う時がある

 

放った言葉はもちろん

カット見開いた相手の瞳孔

それに気づいて取り繕うべく

おろおろ言葉を探す

気に物狂いの自分も

その場に居合わせた人も

気まずい空気も

 

なにもかも

| 木曜会会員 | 23:19 | comments(0) | - | ↑TOP
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福寿草からのエール

          寺澤朋子

 

枯れた草むらの中から

ひょこっと顔を見せた

庭の福寿草

 

今日はご機嫌とみえて

黄金の花びらが全開

キラキラ輝いて

まぶしい

‟おはよう‟と

声をかけてくる

 

お日さまのエネルギーを

全身に吸いこんで

‟元気をお裾分けしましょう‟と

届くさわやかなエール

| 木曜会会員 | 22:53 | comments(0) | - | ↑TOP
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小箱の中の時間

       安井和美

 

小箱の蓋を開けると

幼い頃の 思春期の

放り込まれた

種々雑多な物に

過ぎてきた日々が重なる

 

厚みのある昔の切符

印字の駅名は

忘れ難い通学の降車駅

 

港で拾った異国のコイン

古い切手

折り畳んだ紙の

下手な似顔絵は

よみがえる遠い記憶の自画像か

 

今も古びずに

むしろ新しく感じられるほど

脳裏を包み込む

遙かな時間の懐かしさ

| 木曜会会員 | 00:04 | comments(0) | - | ↑TOP
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冬の庭のクリスマスローズ

           岩原陽子

 

うつむきかげんの小さな花が

冬の庭で咲いている

 

色のない庭に

控えめな色彩をそえて

 

クリスマスローズなんて

名前をつけたのは誰なの

わたしには似合わない

恥ずかしそうに

花は呟く

 

いいえ

そんなことはないわ

降り出した粉雪が花びらにとまる

 

| 木曜会会員 | 00:03 | comments(0) | - | ↑TOP
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