すてきな出会い

         中原千津子

 

スーパーマーケットで

塩の種類を眺めていたら

ついーっと 誰かの手が伸びてきた

 

「すみません」

あわてて 占領していた場所を譲る

 

「いや いや

 私の手は まだ伸びるから」

野球帽をかむった老人が

静かな物腰でそう言った

 

お互い 無言で

何でもやり過ごす

つっけんどんな 世の中で

 

なんと すてきな人なんだろう

 

                                                      

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命を育てたゆず

        安井和美

 

この冬 いつもより

多めの実を付けたゆずの木

夏の日にはアゲハチョウを守り育て

暑い空中へと舞い上がらせた

 

命を育てたゆずの実は

とても優しげな黄色

収穫後の台所を包む

キリリと爽やかな香り

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うつろい

 

     そがべたけひろ

 

冷たい雨が

風といっしょに

走っていく

 

大勢で

道の上を

足並みをそろえて

走っていく

 

冬を

呼びにいくのだろうか

急いで

走っていく

 

冬は

まだ

あの黒っぽい雲の

向こうにいて

何か

生真面目な顔をして

立ち止まっているようだ

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雪を払い落とす

        渡辺寿美子

 

雪をかぶったさざんか・千両・つつじ

(かあ)さんのまねして

杖ではたいて

木の上の雪を落していく

 

積雪があるたび

曲がった腰に片手をあて

おぼつかない足取りで

雪を落しに 前裁に出た姑さん

 

雪の固まりが地面に落ちる度

たわんでいた枝が

元の高さに 戻って

うれしそうな木々たち

 

姑さんは 木々の痛みを

一番良く 理解していたのだろう

 

*前裁=庭前の花木・草花の植込み

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水に流す

                中原千津子

 

大昔から

トラブルは水に流してきた

日本民族

 

世界はそうはいかない

ということが

だんだん わかってきた

 

恨み つらみは 増幅して

喧嘩も いくさも 終わらない

 

だから日本人でよかったなどと

ぬくぬくしている 時代ではなくなった

息苦しい まいにち

 

 

 

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木曜会へ

        三輪アイ子

 

月並だと

言われるだろう

発見がない とも

言われるだろう

 

ほら ちゃんと

自分でわかってるじゃない

 

正直

四十年もこうしたことを

くり返しているのに

今日も鼻歌まじりで

出かける

 

恋人にでも会いに行くみたいに

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蛍光ペン

      大楠 翠

 

「蛍光ペン」って

聞いただけで

わくわくした

少年時代

 

両手でホタルを

囲うようにして

暗がりをつくり

光れ光れと

念じて

何度も試した

 

少年時代の蛍光ペンの色は

時を経ても鮮やか

 

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バァバの出番

         小川かよ子

 

幼稚園へ通う道々

しりとりゲームやクイズ

小学校の運動会

いつも元気を貰ったよ

 

中学受験の合格発表

信じていても心配したよ

あの日の空の青と富士山

バァバはしっかり覚えてる

 

アッと云う間の二十一歳

すっかり大人になりました

バァバの出番はなくなりました

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人生の終盤に差し掛かって

                   片山洋

 

人生の終盤に差し掛かった

自分なりに

なにか生きてきた(しるし)は残せたのかと

気にかかる

 

余分なことは省き

印を残すことに集中しようとすると

かえって年ごとに忙しくなる

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百歳をめざして生きても

               吉田房子

 

新聞の広告見て

百歳をめざしての本買った

 

六十歳からの生き方

十年区切りで書いてある

 

先ず初めに

自分の年齢の八十代を見ると

八十代は汚い

みんなに嫌われる

嫌われても

かまわない心を持つこと

 

何事も自分ファーストで

人の言葉は気にしない

 

いいことは書いてない

最後は家の人にも

嫌われるだって

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