大野悦子

 

ロシアの名所を巡るツアーに参加した

八組の夫婦と

高齢のお父さんと娘さん

(年齢は私の父と同じぐらいだろうか・・・)

 

少年兵としてシベリアに抑留されていた父

新聞記事を切り抜いて

シベリアを慰問する日を望んでいた

一〇年ほど前の夏

私は父の誘いをはぐらかし

空港で父の背中を見送った

 

出不精の父が行きたいというのだから

その気持ちに応えてあげればよかった

 

もう叶わない

 

娘さんの腕につかまって歩くお父さん

杖をつく歩みに合わせて寄り添う娘さん

 

 親孝行なさいましたね

 

            木曜手帖 平成三〇年一〇月

 

*コメント

後悔をきちんと掘り下げて作品にしておいでですね。

タイトルは「杖」よりも

「もう叶わない」にしてはどうでしょうか。

 

3節

出不精の父が行きたいというのだから

その気持ちに応えてあげればよかった

 

のところ、

出不精の父が出かける決心をし

私に同行を求めたのだから

その気持ちに応えてあげればよかった

 

とするとわかりやすくなると思います。

 

最終行は

―親孝行なさいましたね

 

と横線を入れるといいと思いま

 

一〇年は、横書きの場合、漢数字より

10と算用数字の方が読みやすくなります。

 

 

 

もう叶わない   

        大野悦子

 

ロシアの名所を巡るツアーに参加した

八組の夫婦と

高齢のお父さんと娘さん

(年齢は私の父と同じぐらいだろうか・・・)

 

少年兵としてシベリアに抑留されていた父

新聞記事を切り抜いて

シベリアを慰問する日を望んでいた

10年ほど前の夏

私は父の誘いをはぐらかし

空港で父の背中を見送った

 

出不精の父が出かける決心をし

私に同行を求めたのだから

その気持ちに応えてあげればよかった

 

もう叶わない

 

娘さんの腕につかまって歩くお父さん

杖をつく歩みに合わせて寄り添う娘さん

 

ー親孝行なさいましたね

 

             木曜手帖 平成30年10月

 

 

| 木曜会会員(コメント) | 15:10 | comments(0) | - | ↑TOP
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富山弁

立山登山                 

      大野悦子

 

大阪に嫁いだ姉が

家族といっしょに富山に帰省した

 

小学生三人の子どもたちは

関西なまりのご挨拶

姉もすっかり大阪に馴染んで

「こんにちは」が関西風だ

私もつられて

関西風の「こんにちは」で

みんなを迎えた

 

関西弁をまき散らし

漫才でも聞いているよう

 

「はよう 上がって来られんか

手 洗って

西瓜でも食べられ」

母はうれしそう

「そう せかされんと まあ」

思わず

姉の口から飛び出した富山弁

 

小学生たちは姉の顔を見た

知らない人でも見るように・・・

 

明日は

小学生が楽しみにしている立山登山だ

              木曜手帖 平成三〇年九月

 

 

*今月もいいですね。題が「立山登山」と

 なっていますが、登山のことを書いているわけでは

 ありません。

 この詩の面白いところは、お母さんの富山弁に

 つられて、お姉さんも富山弁が飛び出し、お子さんたち

 が、知らない人でも見るように、お姉さん(自分たちの

 母親)を見るというところです。

 終わりの2行はカットして、題も「富山弁」とすると

 いいでしょう。

 

富山弁

       大野悦子

 

 

大阪に嫁いだ姉が

家族といっしょに富山に帰省した

 

小学生三人の子どもたちは

関西なまりのご挨拶

姉もすっかり大阪に馴染んで

「こんにちは」が関西風だ

私もつられて

関西風の「こんにちは」で

みんなを迎えた

 

関西弁をまき散らし

漫才でも聞いているよう

 

「はよう 上がって来られんか

手 洗って

西瓜でも食べられ」

母はうれしそう

「そう せかされんと まあ」

思わず

姉の口から飛び出した富山弁

 

小学生たちは姉の顔を見た

知らない人でも見るように・・・

 

 

| 木曜会会員(コメント) | 21:54 | comments(0) | - | ↑TOP
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オルガン

      大野悦子

 

小学三年生の夏休みに

オルガンが届いた

日曜日の朝 

伯父さんの軽トラに乗って

やって来た

 

「ド」の鍵盤に赤いシール

いとこの淳ちゃんが貼ったシールだ

 

ねこふんじゃった 

ねこふんじゃった・・・

 

歌いながら弾き始めたら

新聞を読んでいたおとうさんが教えてくれた

このオルガンは

私で三代目だって

 

待ち遠しくてうれしくて

きのうは

一晩中夢の中で弾いていた

 

今日から私のもの

窓ぎわに迎え入れた

いちばん明るい場所へ

 

       木曜手帖 平成三〇年七月

*コメント

いいですね。すごい上達ぶりに驚いています。

ちょっと手を入れると、更によくなりますよ。

 

オルガンが届いた

          大野悦子

 

小学三年生の夏休み

日曜日の朝 

オルガンが届くという

待ち遠しくてうれしくて

きのうは

一晩中夢の中で弾いていた

 

オルガンは

伯父さんの軽トラックに乗って

やって来た

 

「ド」の鍵盤に赤いシール

いとこの淳ちゃんが貼ったシールだ

 

ねこふんじゃった 

ねこふんじゃった・・・

 

歌いながら弾き始めたら

新聞を読んでいたおとうさんが教えてくれた

このオルガンは

私で三代目だって

 

今日から私のもの

窓ぎわに迎え入れた

いちばん明るい場所へ

 

題は「オルガン」だけでなく、「オルガンが届いた」に。

昨日のことは、今日より以前のことですので、時間的な

流れとして5節に置くのは疑問です。そこで1節に

うたいこみました。

「軽トラ」は詩では、きちんと「軽トラック」と

したほうがいいと思います。

| 木曜会会員(コメント) | 18:57 | comments(0) | - | ↑TOP
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自己紹介

     大野悦子

 

ぼくはめだか組です

一歳五か月です

ママと

ママのおかあさんにそっくりです

お気に入りのタオルがあります

機嫌がなおる魔法のタオルです

歌が聞こえると

からだが自然に動きだします

好き嫌いありません

真っ赤な顔で

ウンチをします

眠くなったらどこでも寝ます

 

ママは四月からお仕事に戻ります

だから

幼稚園に入園しました

となりの子が泣くと

ぼくもつられて泣きます

「おおのあおいくん」と呼ばれたら

返事をして手をあげる

まだ できません

おかあさん指で「一歳」も

むずかしいです

 

ぼくはめだか組で

おかあさんのお迎えを待っています

 

           木曜手帖  平成三〇年五月

*コメント

一歳五か月のぼくの自己紹介。どこのお子さんもあまり変わりないようですね。

 おなまえは?

 自己紹介なら「僕は○○です。一歳五か月です」で始まるのではないでしょうか。

そしてもっと自己紹介として、あなたのお子さんの特徴をしっかり書き込みましょう。

幼稚園に入ってからのことはまた別の作品にして「ぼくは一歳五か月です。めだか組です」

で書き始めて、幼稚園でのお子さんのことを書いてみましょう。

もっともっとしっかりスケッチするといいですね。

「ぼくはめだかぐみ」なんて題も面白いかもしれませんね。

                          宮中雲子

| 木曜会会員(コメント) | 21:34 | comments(0) | - | ↑TOP
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まさえさんと孫

         大野悦子

 

立ち話をしている私たちの輪の中で

かんた君は立ち上がった

「きょう まさえさんのおたんじょうび」

「さんじゅうごさい」

空に向かって叫んだ

 

 誕生日の朝

「まさえさん なんさい」

無邪気な問いかけに

ほうれん草のスムージーといっしょに

七五歳を飲み込んで

まさえさんは

「さんじゅうごさい」に若返った・・・

 

まさえさんの可愛いうそに

私たちは聞こえないふりをして

拍手を送った

足もとには

砂でこさえたまるいケーキ

葉っぱのローソクも飾って

 

かんた君は

おばあちゃんのことを

「まさえさん」と呼んで

おとうさんとおかあさんの帰りを

待っている

 

*コメント

これまでにも書かれたことがおありか

2節の後半、

 

無邪気な問いかけに

ほうれん草のスムージーといっしょに

七五歳を飲み込んで

まさえさんは

「さんじゅうごさい」に若返った・・・

 

ここはいいですね。しかし、かんた君が35歳と言っているのは

どこからきているのでしょうか。

 

1節、立ち話をしている私たちとは誰のことでしょうか。

 

私たちの、私とは?

 

登場人物は、なるべく少なくしたほうがいいと思います。

うたわれているのはいつか、場面の設定もはっきりさせましょう。

                      宮中雲子

 

| 木曜会会員(コメント) | 23:02 | comments(0) | - | ↑TOP
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月見草

     三輪アイ子

 

月見草の咲く

川辺の土手を歩きながら

不意に 五歳の娘が聞いた

「ねえ お母さんも何時か死ぬの?」

 

足をとめ 息をのんで

私は言った

「そうねえ ずっと ずっと

ずうっと先のことよ」

 

何を思っていたのだろう

うつむいた娘の足もとに

月見草がゆれていた

| 木曜会会員(コメント) | 00:03 | comments(0) | - | ↑TOP
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りおちゃん

     中村重一

 

りおちゃん ひとりで はってます

おててと あんよで はってます

おなかも つかって はってます

ぱたぱた ぱたぱた はってます

 

りおちゃん ひとつに なりました

おててを ふりふり あるきます

あんよが あんよを おいかけて

とことこ とことこ あるきます

 

りおちゃん こんどは おどります

おしりを ふりふり おどります

リズムに あわせて おどります

ぴっとこ ぴっとこ おどります

 

ぱたぱた ぽたぱた ぱったぱた

とことこ とことこ とっことこ

ぴっとこ ぴっとこ ぴっとこと

 

 調子よく、楽しんで書いておいでですね。

けれど、1節で這っていたのが、2節では一つになって

歩き出し、3節では踊っています。一つの作品の中で

こんなに素早く成長しては、読むほうはついていけませんよ。

這ってます…というのも、地面を這いまわる虫のようで

感心しません。この作品は、ハイハイだけに絞りましょう。

 

りおちゃん

          中村重一

 

りおちゃん はいはい しています

おててと あんよで ふんばって

おなかも つかって はいはい はいはい

じょうずに はいはい しています

| 木曜会会員(コメント) | 00:02 | comments(0) | - | ↑TOP
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あんよとおてて

       なかむらしげかず

 

りおちゃん ひとりで あるきます

おしりを ふりふり あるきます

あんよが あんよを おいこして

とことこ とことこ あるきます

 

りおちゃん またまた あるきます

おててを ふりふり あるきます

おててが おててを おいこして

とんとこ とんとこ あるきます 

 

りおちゃん こんどは とまります

おんがく きいては ひざまげて

ひょうし あわせて てをふって

ぴっとこ ぴっとこ おどります

 

………………………………………………………………………………
 ■ <strong>コメント</strong>  宮中雲子
………………………………………………………………………………

  昨年の5月にお孫さんがお生まれのよし、お誕生日を超えて

歩けるようになったのですね。可愛い様子を、よくスケッチして

おいでです。けれど、あんよがあんよを追い越して・・・では

転んでしまうのではないでしょうか。

あんよが上手…という使い方では、歩くことが上手の意味ですね。

「あし」 と 「あんよ」 ちょっと紛らわしく思いました。

 

りおちゃん ひとりで あるきます

おしりを ふりふり あるきます

ひだりの あしを まえへ

みぎの あしを まえへ

とことこ とことこ あるきます

 

平凡な表現になりますが、こういうことではないかと思います。

題は「りおちゃんが あるく」ということにして、再考してみては

いかがでしょうか。

| 木曜会会員(コメント) | 20:54 | comments(0) | - | ↑TOP
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少年と医者
                   中村重一

 

診療時間も終わりに近い頃、病院の待合室

に入る。待っている人は五,六人。

突然、少年の絶叫が聞こえてきた。

 いやだ  

 いやだ いやだ いやだ

 いやだといったら いやなんだ

 やめろ 

 やめろ やめろ やめろ

 やめろというのが わからないのか

 やめろーーーーつ

 

 よ〜し おわった

 よく がんばったね

………………………………………………………………………………
 ■ <strong>コメント</strong>  宮中雲子

………………………………………………………………………………
 診療室での風景。よくスケッチされています。

けれど、これが詩かというと、ちょっと疑問です。

この作品なりに、形を整えてみました。

 

少年と医者

         中村重一

 

診療時間も終わりに近い頃

病院の待合室に入る

待っていたのは五 六人

突然 少年の絶叫が聞こえてきた 

 いやだ  

 いやだ いやだ いやだ

 いやだといったら いやなんだ

 やめろ 

 やめろ やめろ やめろ

 やめろというのが わからないのか

 やめろーーーーつ

 

冷静だが 温かみのある

医者の声 

よ〜し おわった

 よく がんばったね

 

   

 

| 木曜会会員(コメント) | 00:21 | comments(0) | - | ↑TOP
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うちのあかちゃん
                    中村重一

 

うちのあかちゃん まだゼロさい

ゼロさいだけど いろいろするよ

おなかとてあしで はいはいする

はいはいしながら どこにもいく

ときどき くびあげ にっこにこ

 

うちのあかちゃん まだゼロさい

ゼロさいだけど いろいろするよ

つくえ みつけて はやいはやい

かどに つかまって たちあがる

ぴっとこ ひざまげ にっこにこ

 

うちのあかちゃん まだゼロさい

ゼロさいだけど いろいろするよ

かべを つたわって よこあるき

つたわり つかれて ぺったんこ

ぺったん すわって  にっこにこ

………………………………………………………………………………
 ■ <strong>コメント</strong>  宮中雲子

………………………………………………………………………………
 中村さんには、昨年ひ孫さんが生まれられたそうで

またこどものうたのモデルが増えたということですね。

おめでとうございます。そのひ孫さんの為にも、どんどん

書いていらしてください。

今回の作品、どの節も1行目と2行目が同じです。

もう少し、違ったものを考えるといいですね。

それに、2節があまり面白くないので、2節はカット

しましょう。

題は、「うちの赤ちゃん」より、「まだゼロさい」の

ほうが、これからもいろいろ書けるでしょう。

 

まだゼロさい

           中村重一

 

うちのあかちゃん まだゼロさい

ゼロさいだけど 

おなかとてあしで はいはいする

はいはいしながら

ときどき くびあげ にっこにこ

 

うちのあかちゃん まだゼロさい

ゼロさいだけど 

かべを つたって よこあるき

あるき つかれて 

ぺったん すわって  にっこにこ

  

| 木曜会会員(コメント) | 21:13 | comments(0) | - | ↑TOP
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