祖父と大阪万博

大阪万博             

                大野悦子

 

医者嫌いの祖父は

救急車で病院に運ばれた

二カ月あまりの闘病生活だった

1970年大阪万博でにぎわっていた七月に

六十歳で亡くなった

 

祖父はお酒を飲んでは母を困らせていた

私には

旅のみやげを買ってきてくれる優しいひとだった

 

喪が明けないうちに

大阪万博に出かけることを

母は迷っていた

それでも

中学一年生の夏休みが終わるころ

家族で万博会場に出かけた

母は祖父の写真を財布に忍ばせて

 

 あのとき

 月の石を見るために

 パビリオンの行列に並んだ父も母も

もういない・・・

 

2025年に大阪万博開催が決まった

 

         インターネット木曜手帖

             平成31年2月

 

*コメント

 おじいさんと大阪万博のことが、手際よく

まとめられています。おじいさんへのそれぞれの

思いもよく書かれています。

 ご両親の亡くなられたことや、これからの

万博まで書くのは、書きすぎですよ。

題も「祖父と大阪万博」になさるといいですね。

今回は、詩は3節までで、4節と5節はカット

題を直すだけでいいですよ。

 

 

祖父と大阪万博

             大野悦子

        

医者嫌いの祖父は

救急車で病院に運ばれた

二カ月あまりの闘病生活だった

1970年大阪万博でにぎわっていた七月に

六十歳で亡くなった

 

祖父はお酒を飲んでは母を困らせていた

私には

旅のみやげを買ってきてくれる優しいひとだった

 

喪が明けないうちに

大阪万博に出かけることを

母は迷っていた

それでも

中学一年生の夏休みが終わるころ

家族で万博会場に出かけた

母は祖父の写真を財布に忍ばせて

| 木曜会会員(コメント) | 23:46 | comments(0) | - | ↑TOP
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砂場遊び

       大野悦子

 

雪がとけた公園の砂場で

三才になった息子が遊んでいる

買ってもらったばかりのアンパンマン自動車に

砂をかぶせて

アンパンマンは砂に埋もれてしまった

 

私は少し離れたところから見ている

お気に入りの自動車が台無しだ

不思議に思ってしばらく眺めていた

 

すると

今度は砂をシャベルで取りのぞいた

 

どこかで見たような気がする・・・

 

 雪の降った朝

 車の屋根には30センチぐらいの雪が積もっていた

 そのたびに

 私はスコップで雪を落として

 埋もれた車を掘り出した

 息子もおもちゃのスコップでお手伝い・・・

 

私は息子にかけよった

「いっぱい ゆきがつもったね」

「うん 」

降り積もった雪の中から

アンパンマンを掘り出して遊んだ

                

    インターネット木曜手 平成31年1月

 

*コメント

 砂場で遊んでいる子供。雪の日に同じような

場面があったとしても、砂を雪にしてしまうのは

疑問です。それに、雪の降った朝、30センチくらいの

雪が積もっていた…では、一回ですね。なのに、

「そのたび」は変です。

30センチの雪で自動車が埋まるでしょうか。

そこで、思い出の雪を「大雪の朝」としてみました。

そして、「雪の日を 思いだしたんだね」として

つじつまを合わせました。

   

  砂場遊び             

         大野悦子

 

公園の砂場で

三才になった息子が遊んでいる

買ってもらったばかりのアンパンマン自動車に

砂をかぶせて

自動車は砂に埋もれてしまった

 

私は少し離れたところから見ている

お気に入りの自動車が台無しだ

不思議に思ってしばらく眺めていた

 

すると

今度は砂をシャベルで取りのぞいた

 

どこかで見たような気がする・・・

 

 大雪の降った朝

 自動車の屋根には30センチぐらい

  雪が積もっていた

 私はスコップで雪を落として

 埋もれた自動車を掘り出した

 息子もおもちゃのスコップでお手伝い・・・

 

私は息子にかけよった

「雪の降った日を思い出したんだね」

砂で埋もれた

アンパンマン自動車を掘り出して

一緒に遊んだ

                

| 木曜会会員(コメント) | 15:00 | comments(0) | - | ↑TOP
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野球少年

                  大野悦子                            

 

ギョロっとした大きな目と

目が合った

コンビニのスイーツ売り場で

 

童保育に来ていたあの子の目だ

 

あまりにも突然のことで

とっさに名前も出てこない・・・

 

小学年生から少年野球に入団

中学生になっても

高校生になっても野球を続けた

野球道具を自転車に乗せて

走る姿を何度も見かけた

 

ぼくの「わたなべ」は

「渡邊」だから

名札を見せてくれた

あの日のあの野球少年の目だ

 

「おとうさん」

半信半疑でたずねると

「はい」と笑顔になった

「おめでとう」

腕の中には

赤ちゃんが眠っていた

 

インターネット木曜手帖  平成30年12月  
 

*コメント
嬉しい出会いがあったのですね。

それをよく捉えて書いておいでです。

 

高校生になっても野球を続けた

野球道具を自転車に乗せて

走る姿を何度も見かけた

 

高校生になっても野球を続けた

ではおかしいので、

野球を続けた…をカットしましょう。

 

ぼくの「わたなべ」は

「渡邊」だから

ここは、この「渡邊」だと・・・に

 

終節は

腕の中には

赤ちゃんが眠っている

「おとうさん」

半信半疑でたずねると

「はい」と笑顔になった

「おめでとう」

 

にするといいと思います。

  

野球少年 

       大野悦子                            

 

ギョロっとした大きな目と

目が合った

コンビニのスイーツ売り場で

 

童保育に来ていたあの子の目だ

 

あまりにも突然のことで

とっさに名前も出てこない・・・

 

小学年生から少年野球に入団

中学生になっても

高校生になっても

野球道具を自転車に乗せて

走る姿を何度も見かけた

 

ぼくの「わたなべ」は

この「渡邊」だと

名札を見せてくれた

あの日のあの野球少年の目だ

 

腕の中には

赤ちゃんが眠っている

「おとうさん?」

半信半疑でたずねると

「はい」と笑顔になった

「おめでとう!」

  

 

| 木曜会会員(コメント) | 23:33 | comments(0) | - | ↑TOP
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僕のスマートフォン

         大野悦子

 

二歳になった孫は

スマホが大好きだ

おもちゃのスマホで楽しそう

たとえ

さかさまでも

スマホを持つ手はさまになっている

だれとお話しているのかな

お話している横顔は

まるで一人前の男の子

 

生まれたときから

スマホがあったんだもの

かなわない

 

不意になるスマホの着信音に

ドギマギする私

スマホ歴二年の私は

いつか孫に教わる日が来るかもしれないね

 

今はまだ

おもちゃのスマホで

うれしそうだけれど・・・

 

 

     インターネット木曜手帖

      平成30年11月

 

  • とてもよくなってきていますね。

  たとえ さかさまでも・・・は1行に。

 2節と3節は入れ替える。

 終節はカット。

 内容が、お孫さんのことを書いておいでなので

 題は、「孫とスマートフォン」になさると

 いいと思います。

 

  孫とスマートフォン

              大野悦子


二歳になった孫は

スマホが大好きだ

おもちゃのスマホで楽しそう

たとえ さかさまでも

スマホを持つ手はさまになっている

だれとお話しているのかな

お話している横顔は

まるで一人前の男の子

 

不意になるスマホの着信音に

ドギマギする私

スマホ歴二年の私は

いつか孫に教わる日が来るかもしれないね

 

生まれたときから

スマホがあったんだもの

かなわない

 

| 木曜会会員(コメント) | 12:34 | comments(0) | - | ↑TOP
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         大野悦子

 

ロシアの名所を巡るツアーに参加した

八組の夫婦と

高齢のお父さんと娘さん

(年齢は私の父と同じぐらいだろうか・・・)

 

少年兵としてシベリアに抑留されていた父

新聞記事を切り抜いて

シベリアを慰問する日を望んでいた

一〇年ほど前の夏

私は父の誘いをはぐらかし

空港で父の背中を見送った

 

出不精の父が行きたいというのだから

その気持ちに応えてあげればよかった

 

もう叶わない

 

娘さんの腕につかまって歩くお父さん

杖をつく歩みに合わせて寄り添う娘さん

 

 親孝行なさいましたね

 

            木曜手帖 平成三〇年一〇月

 

*コメント

後悔をきちんと掘り下げて作品にしておいでですね。

タイトルは「杖」よりも

「もう叶わない」にしてはどうでしょうか。

 

3節

出不精の父が行きたいというのだから

その気持ちに応えてあげればよかった

 

のところ、

出不精の父が出かける決心をし

私に同行を求めたのだから

その気持ちに応えてあげればよかった

 

とするとわかりやすくなると思います。

 

最終行は

―親孝行なさいましたね

 

と横線を入れるといいと思いま

 

一〇年は、横書きの場合、漢数字より

10と算用数字の方が読みやすくなります。

 

 

 

もう叶わない   

        大野悦子

 

ロシアの名所を巡るツアーに参加した

八組の夫婦と

高齢のお父さんと娘さん

(年齢は私の父と同じぐらいだろうか・・・)

 

少年兵としてシベリアに抑留されていた父

新聞記事を切り抜いて

シベリアを慰問する日を望んでいた

10年ほど前の夏

私は父の誘いをはぐらかし

空港で父の背中を見送った

 

出不精の父が出かける決心をし

私に同行を求めたのだから

その気持ちに応えてあげればよかった

 

もう叶わない

 

娘さんの腕につかまって歩くお父さん

杖をつく歩みに合わせて寄り添う娘さん

 

ー親孝行なさいましたね

 

             木曜手帖 平成30年10月

 

 

| 木曜会会員(コメント) | 15:10 | comments(0) | - | ↑TOP
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富山弁

立山登山                 

      大野悦子

 

大阪に嫁いだ姉が

家族といっしょに富山に帰省した

 

小学生三人の子どもたちは

関西なまりのご挨拶

姉もすっかり大阪に馴染んで

「こんにちは」が関西風だ

私もつられて

関西風の「こんにちは」で

みんなを迎えた

 

関西弁をまき散らし

漫才でも聞いているよう

 

「はよう 上がって来られんか

手 洗って

西瓜でも食べられ」

母はうれしそう

「そう せかされんと まあ」

思わず

姉の口から飛び出した富山弁

 

小学生たちは姉の顔を見た

知らない人でも見るように・・・

 

明日は

小学生が楽しみにしている立山登山だ

              木曜手帖 平成三〇年九月

 

 

*今月もいいですね。題が「立山登山」と

 なっていますが、登山のことを書いているわけでは

 ありません。

 この詩の面白いところは、お母さんの富山弁に

 つられて、お姉さんも富山弁が飛び出し、お子さんたち

 が、知らない人でも見るように、お姉さん(自分たちの

 母親)を見るというところです。

 終わりの2行はカットして、題も「富山弁」とすると

 いいでしょう。

 

富山弁

       大野悦子

 

 

大阪に嫁いだ姉が

家族といっしょに富山に帰省した

 

小学生三人の子どもたちは

関西なまりのご挨拶

姉もすっかり大阪に馴染んで

「こんにちは」が関西風だ

私もつられて

関西風の「こんにちは」で

みんなを迎えた

 

関西弁をまき散らし

漫才でも聞いているよう

 

「はよう 上がって来られんか

手 洗って

西瓜でも食べられ」

母はうれしそう

「そう せかされんと まあ」

思わず

姉の口から飛び出した富山弁

 

小学生たちは姉の顔を見た

知らない人でも見るように・・・

 

 

| 木曜会会員(コメント) | 21:54 | comments(0) | - | ↑TOP
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オルガン

      大野悦子

 

小学三年生の夏休みに

オルガンが届いた

日曜日の朝 

伯父さんの軽トラに乗って

やって来た

 

「ド」の鍵盤に赤いシール

いとこの淳ちゃんが貼ったシールだ

 

ねこふんじゃった 

ねこふんじゃった・・・

 

歌いながら弾き始めたら

新聞を読んでいたおとうさんが教えてくれた

このオルガンは

私で三代目だって

 

待ち遠しくてうれしくて

きのうは

一晩中夢の中で弾いていた

 

今日から私のもの

窓ぎわに迎え入れた

いちばん明るい場所へ

 

       木曜手帖 平成三〇年七月

*コメント

いいですね。すごい上達ぶりに驚いています。

ちょっと手を入れると、更によくなりますよ。

 

オルガンが届いた

          大野悦子

 

小学三年生の夏休み

日曜日の朝 

オルガンが届くという

待ち遠しくてうれしくて

きのうは

一晩中夢の中で弾いていた

 

オルガンは

伯父さんの軽トラックに乗って

やって来た

 

「ド」の鍵盤に赤いシール

いとこの淳ちゃんが貼ったシールだ

 

ねこふんじゃった 

ねこふんじゃった・・・

 

歌いながら弾き始めたら

新聞を読んでいたおとうさんが教えてくれた

このオルガンは

私で三代目だって

 

今日から私のもの

窓ぎわに迎え入れた

いちばん明るい場所へ

 

題は「オルガン」だけでなく、「オルガンが届いた」に。

昨日のことは、今日より以前のことですので、時間的な

流れとして5節に置くのは疑問です。そこで1節に

うたいこみました。

「軽トラ」は詩では、きちんと「軽トラック」と

したほうがいいと思います。

| 木曜会会員(コメント) | 18:57 | comments(0) | - | ↑TOP
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自己紹介

     大野悦子

 

ぼくはめだか組です

一歳五か月です

ママと

ママのおかあさんにそっくりです

お気に入りのタオルがあります

機嫌がなおる魔法のタオルです

歌が聞こえると

からだが自然に動きだします

好き嫌いありません

真っ赤な顔で

ウンチをします

眠くなったらどこでも寝ます

 

ママは四月からお仕事に戻ります

だから

幼稚園に入園しました

となりの子が泣くと

ぼくもつられて泣きます

「おおのあおいくん」と呼ばれたら

返事をして手をあげる

まだ できません

おかあさん指で「一歳」も

むずかしいです

 

ぼくはめだか組で

おかあさんのお迎えを待っています

 

           木曜手帖  平成三〇年五月

*コメント

一歳五か月のぼくの自己紹介。どこのお子さんもあまり変わりないようですね。

 おなまえは?

 自己紹介なら「僕は○○です。一歳五か月です」で始まるのではないでしょうか。

そしてもっと自己紹介として、あなたのお子さんの特徴をしっかり書き込みましょう。

幼稚園に入ってからのことはまた別の作品にして「ぼくは一歳五か月です。めだか組です」

で書き始めて、幼稚園でのお子さんのことを書いてみましょう。

もっともっとしっかりスケッチするといいですね。

「ぼくはめだかぐみ」なんて題も面白いかもしれませんね。

                          宮中雲子

| 木曜会会員(コメント) | 21:34 | comments(0) | - | ↑TOP
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まさえさんと孫

         大野悦子

 

立ち話をしている私たちの輪の中で

かんた君は立ち上がった

「きょう まさえさんのおたんじょうび」

「さんじゅうごさい」

空に向かって叫んだ

 

 誕生日の朝

「まさえさん なんさい」

無邪気な問いかけに

ほうれん草のスムージーといっしょに

七五歳を飲み込んで

まさえさんは

「さんじゅうごさい」に若返った・・・

 

まさえさんの可愛いうそに

私たちは聞こえないふりをして

拍手を送った

足もとには

砂でこさえたまるいケーキ

葉っぱのローソクも飾って

 

かんた君は

おばあちゃんのことを

「まさえさん」と呼んで

おとうさんとおかあさんの帰りを

待っている

 

*コメント

これまでにも書かれたことがおありか

2節の後半、

 

無邪気な問いかけに

ほうれん草のスムージーといっしょに

七五歳を飲み込んで

まさえさんは

「さんじゅうごさい」に若返った・・・

 

ここはいいですね。しかし、かんた君が35歳と言っているのは

どこからきているのでしょうか。

 

1節、立ち話をしている私たちとは誰のことでしょうか。

 

私たちの、私とは?

 

登場人物は、なるべく少なくしたほうがいいと思います。

うたわれているのはいつか、場面の設定もはっきりさせましょう。

                      宮中雲子

 

| 木曜会会員(コメント) | 23:02 | comments(0) | - | ↑TOP
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月見草

     三輪アイ子

 

月見草の咲く

川辺の土手を歩きながら

不意に 五歳の娘が聞いた

「ねえ お母さんも何時か死ぬの?」

 

足をとめ 息をのんで

私は言った

「そうねえ ずっと ずっと

ずうっと先のことよ」

 

何を思っていたのだろう

うつむいた娘の足もとに

月見草がゆれていた

| 木曜会会員(コメント) | 00:03 | comments(0) | - | ↑TOP
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