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傘の柄を持ち直して
       菅原紀子

降り出した雨が
急に強くなり
傘をたたく たたく

傘の柄を持ち直して
空へ向かって押し返す
雨は傘ではじけて
地面に落ちて
勢いあまって
跳ね返る

傘をたたく たたく雨
潔(いさぎよ)い雨音は
先の見えない不安を遮断し
次第に私を
解き放してゆく
| 木曜会会員 | 00:08 | comments(2) | - | ↑TOP
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初めまして、山本と申します。こちらの作品、とても気持ちのよい印象を受けました。
 雨の中を進んでゆく気持ちの重さが、何かしらの不安をかもしだしている冒頭の詩境。次の『傘の柄を持ち直して』の一文で、気分がどこか変わりはじめた予兆を表し、次第に自らの歩みと『自然の作り出す雨のリズム』の軽快さに、心が開放されていく…そんな風にこちらの詩からイメージを受けました。「重さ」から「開放」への、自然な心情の変化も印象的ですし、とても日常的で、ご自身の意志が自然の中にぼやけて、結果前進させる空気となって肯定感を生んでいる気がします。
 とてもいい詩ですね。情景が浮かぶだけでなく『自分もがんばろう』と、思わせられる不思議な共感も喚起している気がします。
今後も詩作、楽しみにしております。
| 山本しんじ | 2010/06/21 1:26 AM |
菅原さんが喜んでおいでです。ありがとうございます。
| miyanaka | 2010/06/22 11:28 PM |
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