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この上ないおいしさ

         宮中雲子

 

台所の(かまど)の上に行平鍋

蓋をとると白粥

それが離乳期を迎えた

従弟のものとわかっていたが

 

戦争末期 薩摩芋ばかりで

白米の御飯など久しく食べていなかった

小学二年の私

 

一匙だけ

もう一口

ほどよくさめた白粥は

この世のものとも思えないおいしさ

 

半分くらい食べたところで

もうだめと自制

 

疎開中の実家で出産した叔母も

私の母も 私を咎めることはなく

それがかえって 罪の意識を強くした

 

後にも先にも

これほどおいしく思えた(ためし)のない白粥

ちょっとした罪悪感と共に

今も私の心に

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