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定期券

      大野悦子

 

夕方の駅の構内

私とマスクをかけたおじいさんは

高校生のズボンのポケットから

何かが落ちたのを見た

おじいさんは拾って

「おーい おーい」と呼んだ

私はおじいさんから受け取って

急いで届けた

 

「ボクの定期券・・・」と

お礼を言いかけた笑顔に

マスクのおじいさんが

拾ってくれたことを伝えると

高校生は

おじいさんのもとへ走って行った

 

定期券は

ズボンのポケットに帰ることができて

喜んでいる

やさしい心の持ち主も

喜んでいる

 

今日だけは

満員電車の憂鬱を忘れた

 

         インターネット木曜手帖

         令和元年十二月

 

 

*コメント         宮中雲子

令和元年の最後の公開作品になりましたね。

よく書き続けてくださって嬉しいです。

タイトル「定期券」だけでは、そっけないので

「嬉しい定期券」としてみました。

駅構内の出来事ですので、その後著者が満員電車に

乗るところまでは、持って行かないほうが、定期券の

受け渡しが、鮮明に浮かび上がってくると思います。

 

 

嬉しい定期券

                        大野悦子

 

夕方の駅の構内

高校生が ズボンのポケットから

何かを落したまま行ってしまった

近くにいたおじいさんは拾って

「おーい おーい 定期券」

と叫んだ

見ていた私は 

おじいさんから受け取って

急いで追いかけた

 

「ボクの定期券・・・」と

お礼を言いかけた笑顔に

私は 

「拾ったのはあのおじいさん」

と 伝えた

高校生は

おじいさんのもとへ走って行った

 

定期券は

ズボンのポケットに帰ることができて

喜んでいるだろう

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