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父の願い

       大野悦子

 

生家を壊すことになったとき

父だけは

ピアノを手放したくないと譲らなかった

しぶしぶ我が家の居間に引き取った

長い間置き物のようにそこにあった

今では

父の形見のようでどうすることもできない

 

ある日

遊びに来た孫がピアノに気がついた

低い音を鳴らして

ドシンドシンとぞうさんのまねをする

高い音をかき鳴らして

小鳥になって歌を歌う

けん盤をたたきながら楽しそう

 

ピアノが喜んでいる

何十年ぶりにピアノの笑い声を聞いた

 

父の嬉しそうな顔も浮かんだ

 

インターネット木曜手帖

令和2年三月

 

*コメント     宮中雲子

 お父様が手放したくないとがんばられたピアノ。

よく書けていると思います。この詩で注意して

おきたいのは、”置物のように“と

“形見のように“と、”ように”が続けて

出てくることです。これを避ける工夫を

してありますので見てください。

 ピアノはずっとそこにあるので、”ずっと

居間にある“と現在形にしましよう。

“ピアノの笑い声“は、気持ちとしては

わかりますが、もう少し抑えた表現にしても

いいかと思います。

 

父の願い           

      大野悦子

 

生家を壊すことになったとき

父だけは

ピアノを手放したくないと譲らなかった

 

しぶしぶ我が家に引き取ったが

長い間 置き物然とそこにあるピアノ

今では

父の形見のようでどうすることもできない

 

ある日

遊びに来た孫がピアノに気がついた

低い音を鳴らして

ドシンドシンとぞうさんのまねをする

高い音をかき鳴らして

小鳥になって歌を歌う

けん盤をたたきながら楽しそう

 

ピアノが喜んでいる

何十年ぶりに聞いたピアノの弾んだ音

 

父の嬉しそうな顔も浮かんだ

 

               

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